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クレーのメランコリックな天使

 画家「パウル・クレー」の初期の頃の絵を見ていると、「クレー」という名前から連想する音楽的で詩的な世界とはかなり異質な印象を抱くかもしれない。
 その戯画的でグロテスクな表情などを持って登場する人々や動物などは、その頃の世紀末的な部類のスタイルに入る世界でもある。

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 彼と同時期に存在した画家に、やはりそんな世界を作り続けた画家もいるが、一方クレーは突然飛躍して、そんな閉ざされた世界からとりあえず脱出したように思える。それは自由な形と色彩の誕生の瞬間でもあった。
 しかし生涯の作品を観ていると、その色彩と抽象の豊かな表情の中に、心の深みにある闇の底から、静かなソナタが聴こえてくるような、メランコリックな気分が観るもののなかでいつも生成されるような気がするのだ。

 クレーは、もともとバイオリニストと画家のどちらをライフワークにするかを最初は迷った人である。だから、彼にとっては音楽的であることは当然でもあるとも思えるのだが、また詩の内省的な世界にもひどく近いものを感じさせる。
 「バウハウス」で共に教師として肩を並べていた「カンディンスキー」の世界にも音楽を感じるのだけど、カンディンスキーがシンフォニーを響かせてくる世界であるとすれば、クレーの音楽は室内楽、ソリストの求心力を感じさせる。
 ふたりとも比較してどうのということのできない個性だが、経験的に言うと以前カンディンスキーの絵を観ていると高揚感を感じることがあり、クレーの絵は時にやや陰鬱でもあり強く内向的、内省的であった。
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 そんなクレーは晩年になると病から、手を使って細かい線を引くことをやや断念せざるを得ないこともあり、その作風がシンプルになったところがある。
 太い線による大胆な・・・しかし「ジョアン・ミロ」の生を謳歌するような世界とは、これはまったく印象はかなり違うのだが・・・そんなスタイルに変化する。

 また多くの素描にある、鉛筆で描かれた線描の世界もそのまま独立して完成しているものも多い。 そんな中にクレーは「天使」をいつも題材としていた。それには人間的な・・時に愚かな、また悩むすがたの天使たちもいる。

 天使が人間に近付いたのか、人間が天使に昇進したのか、どちらにしても友情のわいてくる彼らの表情だ。
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Commented by acoyo at 2004-11-10 00:05
ああ、私の少女趣味の中心をヒットする話を(笑)。
クレーの天使にはどこか「死」の匂いがします。それは、子供が実は、「死」に近い存在だからじゃないかと思うんですが。
Commented by past_light at 2004-11-10 02:31
少女趣味ですか。ワタシもっ?(^-^;

「死」の匂いで思いだしましたが、晩年はモロな感じの作品もありました。
それから、子どもが死に近いと言うのはけだし明言です。(笑)名言。
三歳ぐらいまでの幼児はまだこの世に居続けるか彼の世に戻るか考え中・・なんて話もありまして・・。
by past_light | 2004-11-09 19:28 | ■Column Past Light | Trackback | Comments(2)

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