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中心に権力のない社会を夢見る

 先日、雑誌で、中沢さんと池澤さんの対談を読んでいて、「中心に権力を持たない社会」というような話を読んだ。それについて説明するのは難しいが、なんとなく想像してもらいたい(笑)。
 それから河合隼雄さんの「ナバホへの旅・たましいの風景」を読んでいて、ナバホの伝統的な儀式「サンダンス」を、チーフ、リーダーとして受け持つ人の話がなんだか繋がる気がした。
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 河合さんが「チーフになる人はどうやって選ばれるか」と質問すると、いわば相手は「自然」に決まるのだと答える。

 「私はほんとうにどうしてか知らない。あるとき、あなたは座っていて、次の日には、あなたは人を助けている。そうして、あなたはチーフになっている・・」
なりたいと思ったり、要求したりするわけではなく、「そうなっていたのです」と答える。

 じゃあ、そんなふうにしてなったリーダーが勝手に自分の気に入るように行動し始めたらどうなるのか。と訊くと、これも単純な答えである。

 「自然に人は離れていく。ふと気がつくと、周りに誰もいなくなる」
 「誰も平等である。中から自然に選ばれたからといって偉いわけでもない。偉いと思った瞬間に人々は離れていく」

 ずっと昔1920年代に、ユングは、西欧人がまったく軽視していたアメリカ先住民族の長に会ったときの驚きを書いていて、その長の顔に衝撃を受けたという。その「悠然とした落ち着き」に感嘆する。ヨーロッパでは見られない顔だと感銘を受けた。
 河合さんは、現在ならともかくこの時代に、「ヨーロッパの影の部分を認識していた」ユングの先見性に驚いている。

 「われわれの観点から植民地化とか、異教徒への宣教、文明の拡張などと呼んでいるものは、別の顔を持っている。つまり残忍なほどの集中力で遠くの獲物を探索する猛禽類の顔付きであり、海賊、野盗といった悪人どもにふさわしい相貌である」

 今さらの社会のシステムの頂点に、「悠然とした落ち着き」のリーダーの顔など見られるだろうか。
Commented by falanx at 2008-06-27 00:38 x
あまり他人のブログにコメントを書くタイプでなくて、トラックバックをほとんどやったことがない。
一応、僕はexciteのIDを作成しているのですが、それでもわけがわからなくて、この記事へのトラックバックに失敗してしまった。

Windowsユーザーが読んだら怒られてしまうかもしれない話なんですが、「富と権力を持つ人」が「食料を使って人間を支配しようとしている」SFみたいな記事を書きました。
トラックバックに失敗したので、僕のブログの記事を読んでやってください。
ビル・ゲイツのファンの方は読まないようにしてください。SF小説みたいな話なんですから。
Commented by past_light at 2008-06-27 15:12
読ませて頂きました。
トラックバック、こちらの設定で「リンクのないトラバを拒否する」ままになっていました。
以前より必要のないトラバが増えてしまって、そんな設定ができたのでしたままでしたが、取り合えずしばらく外してみます。

そちらにトラバを送ってみましたが、できたかどうか後に確かめてみて下さい(笑)。

食料の投機による価格コントロールによっての儲けに日々エネルギーを費やしている生きものは、もっとも軽蔑すべき生きものだと思っています。
by past_light | 2008-06-25 20:50 | ■Column Past Light | Trackback | Comments(2)

過去と現在、記憶のコラム。

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