やさしい心?

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 「子供の時に家で飼っていた家畜の面倒を見るのはぼくの役目でした。

 ある日御祝い事の日にも御馳走がなくて、その家畜を料理することになりました。 それで、ぼくがその毎日面倒を見て友達だった家畜を殺さなくてはならなかったのです。

 やはり、家畜とはいっても、胸のつまる思いでした。
 しかし・・、ぼくはその任務を遂行しました。

 ある日学校で、先生が教科書にあるお話を読んだ後、その感想をみんなにたずねました。
 そのお話とは、ぼくが経験したようなものに似ていて、そのお話のなかの少年は、家畜を殺すことができず泣いていました。もちろん家族はそんな少年を暖かく許しました。

 ・・・そのお話に学級のみんなは『とても、少年はやさしい子だと思う』と口をそろえたように感想を言いました。そして先生も頷きました。
 しかしぼくは、『そんなことは普通の事だよ』と言って、クラスの中では孤立することになりました。
 そのお話を聞かされたぼくには、少年は特にやさしいのではなく、そんな感情は当り前の事だと思えたのでしょうか・・」

 この話は、先日聞いたある人の昔話をもとに書いてみたものです。
 ぼくはそのとき「近代化」という言葉を思い出したのですが・・、話してくれた人は学校の生徒の中でも田舎の方に位置している所に住んでいたそうです。他の生徒たちは町の子が多かったらしいです。
 毎日面倒を見て友達だった家畜の彼らに対しての気持ちと、家族の一員として子供ながら・・やむを得ず羽をむしり料理の材料を準備する・・。話してくれた人の当時の気持ちを想像すると「やさしい」という言葉が宙に浮くような感じがしました。

 教科書だから、その本のお話はまさに「やさしい気持ち」というものを教えようとしたふしが伺えます。 けれども、ぼくはそんな教育法はどこかやはり変だな・・?ということに改めて気づきます。 その「やさしい」という気持ちは教えるべきような『答え(解答)』・・なのでしょうか。

 生きたものとしての教育って、どういうものなんだろう。ということを考えさせる話に思えます。
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Tracked from くだんの部屋 at 2004-11-08 22:00
タイトル : 汚れない手
牛、豚、鳥と実際に自分で屠殺をしてから料理をする人は、分業化の進んだ現在では少ないであろう。 そういう場面を見ることなく、または想像することなく食卓に臨むことができる。 もちろん育てる過程における糞尿の処理なども想像の範囲にあることは稀であろう。 今それがそこにあるのはどういうことに起因するのか、そういう想像力と探求力は社会を見る上で必要な力ではないかと思う。 ボタン1つ押すだけで、血を見ることなく多くの人を殺害できる時代になろうとしている。 マクベス夫人のように手を洗う心配を微塵ももたずに。   ... more
Commented by acoyo at 2004-11-08 01:23
うまく言えないんですが、感傷と感情は違うんじゃないでしょうか。
今は「やさしさ」というのは、とんでもなく安い言葉になってしまいました。
だから、あまり使いたくない言葉に、なってしまいました。
Commented by past_light at 2004-11-08 02:48
感傷と感情はちがいますね。
感傷に浸るという状態はむしろ感情的に麻痺している場合が多いのではないでしょうか。
ナチス将校が冷酷な行為に日常手を染めながら、オペラの一幕に涙を流すとか。
例としては極端ですが、そんなケースがあるようですし。
ナルシズムと感傷がかなり近いと感じます。

それはそうと、むかし映画の垂れ幕みたいなコピーに、
「強くなければ生きていけない。やさしくなければ生きていく資格がない」とかありましたけれど、
「強く」というのはマッチョな戦闘的な意味ではもちろんないでしょうが、一見安っぽいけどやっぱり当たっている気がします。
まあ、言葉より実体だ(笑)。
Commented by くだん at 2004-11-08 23:03 x
「言葉より実体だ」というのはけだし至言だと思います。
今は実態がない「愛」、「優しさ」が闊歩する世の中ですから。
TB、させていただきました。
Commented by catvj at 2004-11-09 01:27
はじめまして。以前より読ませていただいておりました。
「やさしい心?」を読んで、ニキータ・ミハルコフ監督の映画「ウルガ」を
思い出しました。映画なかほどに、ちょっと状況の似た場面があります。
残酷さはなく、厳粛なものを感じました。印象に残ってます。
もしまだご覧になっていなければお勧めしようかと思い書いてみた
次第です。(おそらく見ておられるような気もするのですが・・・)
Commented by past_light at 2004-11-09 02:11
>くだんさん
T.Bにコメント、頂いてありがとうございます。他のブログからもできるんですね。いやあ、わたしゃまだまだ先がナガイ・・(笑)。
そうか、実体は誤字じゃなかったんだ(笑)。いや、そのつもりで書きました。ありがとうございます。

>catvjさん
はじめまして。リンクも頂いているようで、ありがとうございます。
ニキータ・ミハルコフ監督の映画は幾つかは観ておりますが、「ウルガ」多分観ているのではと思います。しかし、その場面の記憶はないです。見直してみたいですね。
今思いだしたのは、古いフランス映画なんかにも家畜をいとも素早く料理の材料にしていく−場面などあったような記憶もありますね。タビアーニ兄弟の映画には家畜との生々しい生活感もあったりで、びっくりしたこともあります。
>残酷さはなく、厳粛なものを感じました。
生活の背景に嘘がないと厳粛ですね。沈黙しますね。
by past_light | 2004-11-07 21:25 | ■Column Past Light | Trackback(1) | Comments(5)

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