火星人は星へ還ったのか?

「谷川俊太郎が聞く、武満徹の素顔」

 この本は、谷川さんのインタビュー形式だけど、どなたとの対話にも、武満さんをはさみ、また通して、馴染みの方が多く、くつろいだ対話が読んでいて伝わる。

 谷川さん自身の関心も影響しているとはいえ、武満徹の「人間」に話が及ぶことが多い。
 そこに現れるのは、常識的な大人とか、難解な芸術家とか、そういう部類とは異次元な不思議な人間像だ。
 「火星人」とか「宇宙人」とか言われたイメージも彷佛させるエピソードなど、日常のなかの武満像もたのしい。
 気難しさと無邪気さ、聖と俗を軽々行き来した、それがむしろ愛されてやまない二面性として浮かび上がる。
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 「いま、いないということがなにか実感されない」という話も,「存在感」というものの多種多様な面を発見させられる。
 武満徹とは、根本的に透明感のあった存在、ということでもあるのだろう。

 とくに映画監督の恩地さんや、武満さんの娘さんのとの対話には、「人間・武満」の摩訶不思議さが楽しく語られている。
 娘さんの、結婚相手として考えては「父のような人はタイプではない」という残酷な率直さが、亡き父、武満徹も微笑んで頷いておられるのではと感じたリ・・、素敵な娘さんです。

 対話者の話を聞いていると、以前立花隆さんが、追悼のテレビ番組で、その日、異常なほど饒舌に芸術家武満を語りながら、番組の終りに言葉を詰まらせ嗚咽をこらえた映像を思い出すと、それはやはり人間・武満徹に対する喪失の悲しみだったのだと思われる。
 このような、愛され、友情に過不足のない人生は、なんと幸福、というほかない。
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by past_light | 2008-03-29 18:26 | ■Column Past Light | Trackback | Comments(0)

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