お久しぶり、キース。
2006年 02月 17日

キース・ジャレットを初めて聴いたのは、二十代はじめ。
ぼくももちろん「ケルンコンサート」のガラス玉が弾けるような、あの即効演奏の完成度にびっくりしたものだ。
そのころはまだジャズ喫茶があちこちにあって、一軒の店で最初は聴いたのだと思う。曲がかかると、そのジャケットが必ず飾られたから、それを目に焼きつけて、レコードを捜しに行ったものだ。
「ケルンコンサート」は、ぼくに、絵においてそのころ「表現主義」を思わせたが、それは当時、ムンクの絵をよく見ていたせいもあるだろうか。
のちにキースはグルジェフかだったか、その辺に関心があったようなことをどこかで読んだ気がする。そのころなんとなくケルン・コンサートには、ある意味では宗教的な(キリスト教という意味ではなく)緊張感があると感じていた。

だけど、「The Melody At Night, With You 」このアルバムは、こちらに耳を研ぎ澄ますテンションも余裕もなく、また何かをしている合間に聴いていても、何時の間にか胸に染み入って来て、圧倒的な郷愁を誘う。
その旋律が、無垢というのか、そのときのキースの鍵盤と指の対話だったのだろうか。
★(おすすめ-9.Shenandoah)ここで全曲少しづつ聴けます。