星の王子さまの新装

 「かんじんなことは、目に見えない」と、王子さまは忘れないようにくりかえしました。
 サン テグジュペリの『星の王子さま』がキツネに教えてもらった言葉だ。

 以前なぜか宮沢賢治の言葉とばかり記憶間違いをしていた。それは多分そんなに間違っても、けしてぼくの中ではイメージとして遠くないものだが、賢治の『銀河鉄道の夜』に出てきたと思い込んでいた。

 『銀河鉄道の夜』で印象的な言葉は、「ほんとうの幸いはいったいなんだろう」という言葉かもしれない。
 やはり、こうして並べてみると共通した響きを感じるのは、ぼくだけなんだろうか。

 『星の王子さま』はいつも不思議な気持ちにさせる童話だ。最近、新しい翻訳がいくつか出てもいる。本屋で覗いたら池澤夏樹さんの訳本が目立つところにあり、なんだか読みやすそうだ。

 しかしこれは、童話なんだろうか。
 『星の王子さま』はユング心理学の恰好な材料にもされていて、もうゆうに20年以上前に読んだユング門下生マリア・フォン・フランツの、「星の王子さまの深層」という本には、その頃ひどく感心したり、自らをかえりみて脂汗を流したりした。・・というのはおおげさなんだが。

 しかしその頃、まだ原作は読んでいなくて、その後、真っ白でこの原作に向かうことが難しくなってしまった条件をつくってしまったような気もする。それでもしばらくは読んだつもりになっていたので、おかげですいぶん後になって原作を読むことになってしまった。

 この物語にある悲しさ、さみしさは、なんだろう。
 フランスではミュージカルになっていてたりして、日本公演も日本人で公演があったようだ。最近、日本人の演出家の公演の話もラジオで聴いた。
 ぼくはこの物語がそんなに多くの人に賛辞を受け、何故だかノーマルに・・。そしてエンターテーメント的に楽しまれると云うのがなぜか信じられない。大きな口を開けて大声で歌い、踊り、大声で「ぼくのバラなんだ!」なんてどなるミュージカルに創るという演出家が理解できない。

 ぼくにはなんだか、ある怖さと悲しさが、囁くように、儚気に、語られ伝わってくる謎に満ちたお話なんだ。

 原作に忠実なアニメがあり、また「ベルリン天使の詩」の役者ブルーノ・ガンツのサン テグジュペリの映画があり、斎藤由貴の素晴らしい王子さま役の、しずかな朗読によるCDもあった。その世界は原作を大事にした創作を見せてくれていた。
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Commented by まやのすけ at 2009-09-11 13:31 x
こんにちは、はじめまして
来週から岩手の宮沢賢治の故郷を訪れるに当たり
私の大好きな2つの話、「銀河鉄道の夜」と「星の王子さま」について色々と調べていたら、こちらにたどり着きました

色々と、色々な方が、この物語について、またこの物語たちについて描かれていましたが
こちらの記事が、一番私の思うところと似ており、コメントを書かせていただきました!
随分と昔の記事のようなので恐縮ですが・・・

ブルーノ・ガンツのサン テグジュペリの映画は知りませんでした。
今度、探してみたいと思います。
ありがとうございました^^
Commented by past_light at 2009-09-11 16:23
まやのすけさん、はじめまして、ご訪問ありがとう。
少し まやのすけさんのブログを覗いたら、バイクでツーリングでいらっしゃるようなご様子?。
大変だけど,楽しそうですね。風が冷たくなる時期でしょうから、思いきり、つっきっちゃって安全運転で飛ばしてください(笑)。
記事の内容,そうてすか。思いが共有できてありがとうございます。
ところで、ちょっと検索してみたのですが、アマゾンを見た限りでは,ビデオ関係が発売されていないようですね。
ぼくが観ましたのはBS放送でのものでしたので。
1995年「星の王子さまを探して サン・テグジュペリ〜魂の軌跡」
という名称のようです。
サン・テグジュペリをブルーノ・ガンツが演じていて,内容はその半生をファンタジックな映像感で静かに描いたものでした。
ご覧になれる機会があるといいですね。
Commented by まやのすけ at 2009-09-14 09:46 x
了解です!
安全運転でぶっ飛ばしてきます(笑)

ビデオは見られないのですね、残念です
Youtubeで地道に探してみます
いつかまた、テレビで放映するといいなぁ!

マリア・フォン・フランツの、「星の王子さまの深層」も
旅から帰ってきたら、図書館で探してみます

星の王子さまと、銀河鉄道の夜は
私の心の奥に直接響くようで
読んでると哀しくないのに涙がぼろぼろ出てきます

悲しさと、寂しさと、ありますよね
宇宙と星は、テグジュペリと賢治の、心なのだと思いました

長々とすいません
また伺います
ありがとうございました!
Commented by past_light at 2009-09-14 19:45
まやのすけさん、いよいよ明日あたりからでしたか?
北の方へと移動されるようですから,やはり風は冷たくなる一方ですが,ハートは熱いぜ!で大丈夫でしょう(笑)。
ともかく楽しんでいい旅を。
「星の王子さまの深層」は文庫で数年前で再刊されたので、すぐに見つかると思いますよ。家の近くの図書館も置いてましたし。
ただ内容は原作の「夢」を少々破壊するいじわるさが(笑)ありますので、ご承知置きください。
文庫でのタイトルは「永遠の少年~大人になれない心の深層」となっています。
これに関連したこのブログは以下のアドレスにあります。
http://past.exblog.jp/6569136

では、お気をつけていってらっしゃい。またお待ちしてます.
by past_light | 2005-10-25 01:36 | ■Column Past Light | Trackback | Comments(4)

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