「ハルジオン、ヒメジョン」

 五月向かうこの時期、思いだす光景だ。
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 川沿の狭い道を、そのまま、ずううっと、何十分か自転車で行くと、その川に沿うように長く続く公園がある。しばらくぶりにそこへ自転車を走らせた日のこと。
 公園は緑が深くなりつつあり、また桜の頃とは違った空気の匂いを充満させていた。 緑の色を深くした木々の中というのは、ぜいたくな環境なんだと改めて思う。
 それから木々の下の土に目をやれば、陽光に照らされた草むらには雑草花の控えめな色がある。

 途中、同じく自転車で前を行く家族に前をふさがれ、スピードを落とさなくてはならなかった。
 自転車一台がやっと通れる狭い道だから追い抜くわけにはいかない。新たに道路と交わる橋に出るまではしかたない。
 ところが実は、ぼくはその家族を見ているとなんだか可笑しかった。それはそんないわばほのぼのとした、五月の温度のある光景だった。

 一番最後を行くママチャリの奥さんらしき人は、胸に眠る子供を抱いて走っている。 奥さんの前方には、ふたりの男の子が子供用の自転車で走る。そして先頭はまぎれもなくお父さんだ。そのお父さんは、しっかりサイクリングな出でたちでさっそうとし、後ろの家族をあまり気にしているとは思えない。唯我独尊、とにかくファッションとしてもひとりだけ一番サイクリングスタイルとして整っている。子供たちはまあ普段着でこれは普通だろう。
 ・・・しかし最後尾を行く奥さんは、台所からそのまま飛び出してきたかのようじゃないか。

 「おい、早くしろ」と玄関先でお父さんに言われて、慌てて満足に支度もできず、一番小さな子供を胸に抱きかかえてベルトで縛り、ママチャリに飛び乗り家族の後を追い掛けて来たのだろう。
 必死に家族の後を追って行く部屋着さながらの奥さん。
 それを見ていると、なんとまあ女性はやはり強しなのだ、と妙に感動したりした。  もちろんフェミニズムからいえば遠い話なのだが。

 それは雑草花のような家族だった。というと失礼かな。だがけして誤解を受けそうな意味じゃないということは分かってもらえるだろうな。
 ああ、幸せって何んだろう?  ということか。
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by past_light | 2005-04-26 20:51 | ■Column Past Light | Trackback | Comments(0)

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