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ラジオの時間

 ラジオドラマ製作の、スタジオ内で繰り広げられる登場人物のキャラクターたちの魅力を生かして、徹底しておバカで、しかも奔放な話のつくりと過剰な程のサービス精神が楽しい映画。
ラジオの時間_b0019960_16321450.jpg
 三谷監督の、ドラマ手法の成熟を感じさせながらも、自由な発想が無邪気に受け入れられる頭の柔らかさ。それが、どんな人の中にもある可笑しさ、些細に見えるような部分の、エキセントリックなパーソナリティを見逃さない。

 そんなどこにでもいる人たちの関係の中に、鋭くドラマを視て、そして日常からこぼれ落ちそうな非日常な話をつくる観察眼、想像力には感心する。

しかも、どんな人にも暖かい視線が向けられているのがはっきりと伝わってくる。
  一面的に善人、悪人を作り、観客の感情--憎しみや好き嫌いを掻き立て--それを利用し観客をドラマに入り込ませようとする傲慢な脚本、演出が多い中にあって、「ラジオの時間」は、とても気持ちのよいドラマになっている。

 映画の隅々にまである、三谷観察眼によるユーモアとマニアな映画的演出も見逃せないので、けっこう隙がありそうでないところなどは、映画としてテレビドラマとは一線を期しているのかもしれない。

 ラストも近くになると、くつろぎついでにゴーサインが出たようなエピソードやエンディング、布施 明の歌も楽しい。
 どの出演者も楽しんでいるのが観ている方にもそのまま伝わって、それが成功するというのはたいへん幸福なことだなあと思う。
Tracked from かたすみの映画小屋 at 2004-12-03 22:46
タイトル : ラヂオの時間
子供の頃はテレビでもよく海外製作のドラマがかかっていましたので、バタくさいドラマが好きでした。特にシチュエーション・コメディ(シット・コム)は好きなジャンルの一つで、最近は少なくなったものの『フルハウス』や『ダーマ&グレッグ』などを見ていました。大学の頃から結婚まではほとんどTVを見ない時代でしたから、三谷幸喜の名前を知ったのも結婚してからで『古畑任三郎』を見て「『刑事コロンボ』みたいなバタくさい脚本書く人だなあ」と思った覚えがあります。... more
Commented by acoyo at 2004-11-29 23:15
この映画、結構好きでした。役者が悪ふざけでなく、本気で映画を楽しんでる映画というのは、伝わるものだと思います。それは観る側を幸せにしてくれますね。
Commented by past_light at 2004-11-30 21:09
演じる側の楽しさは観る側の楽しさに比例するのかも知れません。
いつもコメントありがとうございます。
Commented by サンタパパ at 2004-12-03 22:52 x
この映画は大好きで、映画のblogを作った時に第2回目にとりあげました。「どんな人にも暖かい視線」ってそのとおりですね。
裏方である効果音にも暖かい目を注いでいるので、効果音と音楽の方のblogの方でも何度か話題にしました。
Commented by past_light at 2004-12-04 01:53
サンタパパさん、コメントありがとうございます。
効果音、 サンタパパさんの着眼点、いや着耳点、なるほど。
そういうところがまた面白いですね。観る人によって気づくところも少しづつちがったり多かったりする。
音楽のページも楽しそうですね。パーカッション、ぼくはただ聴くだけの方ですが、いろんな打楽器の音、好きです。
by past_light | 2004-11-28 18:10 | ■主に映画の話題 | Trackback(1) | Comments(4)

過去と現在、記憶のコラム。

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