2005年 02月 27日 ( 1 )

マディソン郡の橋

 ご存じ、チョーベストセラーとなった原作があった。その映画化。
 クリント・イーストウッドの監督作品になり、彼の映画では観客動員も多かった作品だろうと想像する。
 ぼくは原作はついに読まなかったのだが、この映画もテレビの日本語吹き替えである。だから、入れ込んでいた人達には眉をしかめられるかもしれないが、けなすわけではないので許してもらえるだろう。

 クリント・イーストウッドは俳優としてダーティハリーなどでも有名だが、監督としてはこういう映画こそ彼のつくりたい映画なのだろうと思う。監督作品もすでにたくさん集積したベテランでもあるが、単純なヒーローものだけはつくらないところが好感が持てる。

 そんな知る人ぞ知るというか、ぼくは映画の好みが一致しそうで、時にあれっ?と思わせ違和感もある教授で評論家の蓮実重彦氏が、なぜかやたらと誉める監督業の俳優でもあるイーストウッド。
 自ら演じるのは、なんといっても彼のもうけものと言うしかないほどの魅力のある初老の男。
 繊細でやさしく、大人で少年で誠実で正直で、気がきいてて、人の思いを読みとり傷つけることを最も敏感に嫌い、かっこよくて、思慮深く、個性があってバランスがとれてて、デリケートで、と思いつくすべての男の魅力が結晶化されたかのような人物である。
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 ラスト近くの雨のなかのシーン、相手役のメリル・ストリープの車の前に歩いて出てきて、寂しい微笑を見せて車に戻る姿と表情。
 信号待ちの車から、後ろのメリルと旦那の乗った車にウインドー越しに見せる姿。十字架をバックミラーに架けてメリルに静かに決断を促すダンディさ。それらは原作にあるかどうか知らないが、たいしたものだと感心した。
 それは演出された演技のみならず、クリント・イーストウッドが長年生きてきた男、俳優として、静の動作であらわした奇蹟を見るような気がした。

 相手役のメリル・ストリープは、役柄のために多分ずいぶん頑張って中年婦人の体型を獲得していて、安心して見ていられるようにプロ根性をいつものように見せている。
 ともかく、たいへん落ち着いて観れる大人の映画だと思う。
 なによりやはり、原作にうわさされたピュアな精神が本物かもしれないと思わせる映画に仕上がっていて、この純愛ストーリーも、おとぎ話のようでいて、多くの人の心のなかにあるリアルなハートランドの物語だろう。
 アメリカ映画がたまに見せてくれる、あったかいプレゼントだ。(1999.2.12)
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by past_light | 2005-02-27 18:10 | ■主に映画の話題 | Trackback(2) | Comments(2)

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