「フォロー・ミ−」・・結婚とはなにか。

 結婚とか、なんてこと考えたこともなかった時に観た映画。キャロル・リード監督その意外なラブコメディ。いやコメディではないかも知れない。なぜならテーマはどこにでも、今の時代なおさらのように見られる夫婦の関係についての深い洞察も持っ た映画だからだ。

 この映画はその年のキネマ旬報の記録をみると、批評家的には20位ぐらいにやっと入るぐらいの位置付けだが、読者選出では5位である。この年にもたくさんの映画を観た。印象的な作品がたくさんある。外国のものだけでも「スケアクロウ」「ジョニーは戦場へ行った」「ブラザー・サン・シスター・ムーン」「ロイ・ビーン」「恋のエチュード」・・・。
 映画を語り合っていた友人と、結婚なんてずっと 先の話だと考えながらも、この映画『フォロー・ミー』は、理想主義的(ロマンチシ ズム)なお伽話というだけで済ませたくなかった思いがあった。もちろんそれはとて も難しいことだという予感に満ちてはいたのだが。
 ともあれ今結婚されている、またこれから結婚を考えているすべての方に本気で薦めたい映画のひとつかもしれない。 ミア・ファローという女優のキャラクターの生きた映画という記憶もある。サントラの旋律も歌も素敵だ。イギリスという国柄もよく背景に感じられ、街のあちこち日常的な光景も楽しめる。
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 全く違った環境と価値観を持った二人が、違いがかえって縁を呼び、楽しい恋愛期間を過ごした後めでたく結婚する。が、気がつけば、いつか旦那は仕事人間。妻に妻 らしくあることだけを要求し、やがてそんな夫婦も退屈な型にハマる。独身時代はヒ ッピー的放浪や、自由と柔らかな日常を送っていた奥さんは孤独と窒息と愛の渇きに 落ち入っている。その妻の不審な日常の行動に不安を持った旦那が、私立探偵に調査 を頼むというシチュエーション。
 と、それだけならありふれた話に思える。しかし私立探偵は『屋根の上のバイオリン弾き』の父親役のトポルという個性的配役。彼のク レージーで温かい眼差しがフォローする依頼人の奥さん。ふたりはやがて一言も会話 を交えることなく、あてもなく街を彷徨い散歩することで、お互いの心に温かい灯をともし、そして素敵な話が始まる。
 これはまさにプラトニックな関係の極地とも言えそうで、観ているぼくらの胸をすら 温かくしてくれる。

 ぼくがこの映画で感心するのは、けして重くならずコメディタッチで爽やかに描かれながら、結婚生活を送る人々に囁かれている、ある「深さ」だ。
 ミア・ファロー演じる奥さ んの旦那への言葉に現れる夫婦の落ち入る現実感と尽きせぬ理想。そしてトポル私立 探偵の軽やかに生を歓喜しようとする姿。そんな彼らを、あまりにも甘い、理想的すぎる、現実的でないと思うか、そのへんを今直に観ているぼくらの、心のリアクショ ンを、現在形で充分に正直に味わってみることではないか、ということだ。これこれこうなんだなんていう結論なんてものに意味はない。映画、創作物の、お話に接しての生きたリアクションに、本来正しい答えなんてないのだ。なんであれ人の感じたも の、感想は、その人の今の心を正確に現わすだろう。それは貴重な経験、忘れている 自分との対面かもしれない。
 映画『フォロー・ミー』は、あるユニークなあったかい ハッピーエンドが用意されています。
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Commented by acoyo at 2004-10-29 18:17
中学の頃、TVで観まして憧れたのを覚えてます。しかし、下の記事から、つながってますね。ミア・ファーロー(笑)。
Commented by past_light at 2004-10-30 03:07
中学生・・。OK、OK(笑)。
ぼくはリアルタイムだぜ。
ミア・ファーローは今ではどうしてますか。ソバカス消えたか。
by past_light | 2004-10-28 18:55 | ■主に映画の話題 | Trackback | Comments(2)

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