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けさ江さん、ちょっと続きです。
 「・・・ 人間とはつくづくおもしろいもので、知識、教養と人格は必ずしも一致しない。
 齢を重ねるごとに迷妄さをつのらせていくことの多いなかで、けさ江さんはその逆の歳のとりかたをした。

 才能という次元で書く「書」などたかが知れたもので、才などとは別の、人として生き、俗を抜けたところの霊性の発露、つまり天然自然にいかに近いかだけが「書」の格であり、核なのである。 ・・・」
(けさ江さんの書と絵---岡本光平)

 故、岡本太郎が「才能によらず、描かなくてはならない」というようなことを我にも言い聞かせるかのように言っていたことも印象的に残っているが、スペインの画家ミロも--わたしは下手だったからこそ続けてこれた--というようなことを言っていた。

 先日のおばあちゃんの展覧会用のパンフが赤いダイコンのところの画像で見れて、紹介文を書いた岡本さんという人の文から引用しました。
 この人がおばあちゃんに書をはじめる勇気を与えた人でもある。
 テレビでは岡本さんの若い人たちも交えた訪問がとても嬉しそうだったおばあちゃん。 握手しながら泣いていたことが、いかに感謝している出会いだったかを物語っているようだった。

 「うまいとかへたとかいう次元のものではない」。そのおばあちゃんの命の表現のような書には、現代社会の中心では味わえない、またあるいは生存不可能な、周辺ゆえにしっかり根を張った命の実存を突き付けてくるように感じられる。

 あるいは岡本さんの言う「格」さえ意味付けをむなしくさせるような、「核」という事なのかと思う。

・前の記事 ★「二、三年のあたま」
★過去コラム「中心と周辺」
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by past_light | 2006-03-05 02:40 | ■コラム-Past Light | Trackback(1) | Comments(7)
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Tracked from 楽浪メガネ at 2006-03-08 00:02
タイトル : 田んぼと畑に生きて
 「齋藤けさ江の書画」を見にいってきました。    こぢんまりとした会場にはビデオが流され、書や絵以外にも、日記やチラシの裏に書いた家族への伝言メモのようなものまで展示されていました。  今年92才の齋藤けさ江さん描くキュウリやチューリップ。  92才だからすごいのか?  70才を過ぎてから字を覚えた方の書だからすごいのか?  いえいえ、特段の情報はなくとも、見た瞬間にインパクトのある書であり、絵でした。  それでも、作品をみるときには、自然と自分の知っている田舎のお年寄り達の顔が浮かびました。住...... more
Commented by bs2005 at 2006-03-05 07:42
また、私のブログで紹介させてもらいました。癖になりそう、、、(汗)
Commented by past_light at 2006-03-06 02:18
ぶんさん、御紹介ありがとうございます。
けさ江さんの事は、もっと知りたくなるという感じですよね。

ぼくも最初の方を見逃しているので、今度の放送を楽しみにしています。
Commented by こはぜ at 2006-03-08 00:09 x
初めまして。けさ江さんの書画展を見にいってまいりました。
予習なしで最終日の夕方に滑り込み。間に合ってよかったです。
とても面白い書画展でしたが、うまくレポが書けません。
もしご迷惑でなければ、こちらの記事と3日の記事、当方で紹介させていただいてもよろしいでしょうか…。
Commented by past_light at 2006-03-08 02:52
西垣 信彦さん、こちらこそ、ありがとうございます。
コメントはどちらでもかまいません。当所ある意味では掲示板のかわりに考えたものですから。

画像などでしかぼくはまだ拝見できませんが、
ある意味日常的ななんでもない、ご家族に宛てたメモ書きなんですが、
なんだか一生懸命、切々たる文を読ましてもらっている感じですね。
文字を書くことがとにかくまずたいへんだから、その全身全霊と言う意味が、書と同じくよく伝わります。
そして、忘れてはならないあのユーモア、見ているだけで楽しい人でしたね。
Commented by past_light at 2006-03-08 02:56
こはぜさん、御訪問、コメントありがとうございます。
御覧になられた方が、また御報告くださり、うれしいです。

レポートも少し読ませていただきました。またのちほどゆっくりうかがいます。
それから、どうぞ、御紹介はうれしいですので、おまかせします。
ありがとうございました。
Commented by ruthk at 2006-03-09 02:09
こんばんは。

けさ江おばあちゃんのお話、素敵ですね。
ご紹介ありがとうございます。
祖母のことを思い出しました。

祖母も、書道をしていた祖父の影響で
70才近くから書道を始めました。
私にとっては天敵?(笑)みたいなところもあったのですが
彼女が亡くなるまでの数年間で見せてくれた
童女のような側面は忘れられません。

私自身は、頭に、垢や汚れをいろいろ蓄積してきたし
これから、まだまだ蓄積しそうですが
けさ江おばあちゃんの書の中に
1つの理想のかたちを、
漠然とながらも、見出せそうです。
Commented by past_light at 2006-03-10 02:16
ruthkさん、こんばんは。
おばあちゃんの想い出、ありがとうございます。

歳を逆に取るというひとは、時々いますね。
だから、長く生きるほど魅力が増すなんて、すごいですよね。

もしかしたら人生は、ある時まではたくさんためて、ある時からできるだけ捨てて行く旅かも知れませんね。