「うしろすがたのしぐれてゆくか」

 以前、ネットで出会った言葉たち。

「 ありがたい ありがたいと おもわなあかん とおもっているうちは まだあかん
  あたまの中から ありがたいが 消えたら ほんまに ありがたいこっちゃ 」

「 夏はあつい 冬はさむい 春と秋はちょうどええなぁそやけど 夏と冬からは逃げられへん  人生も そうや 」

「 人のことやったらわかるのに じぶんのことはわかれへん みんなそうではすまされへんで すまされへんことわかってるのに じぶんのことはわかろうとせえへん  ほんまのとこは わかりたくないのとちがうか みんなこわがりや 」

「 しろくろつけたらじぶんはすっきり そやけどあいてはどうやろ ちょっと待ってほしいときもあるかも しれへん 待つということが 愛やとおもうよ 」

「 にんげんというもんは 許して許されて 忘れて忘れられて そやから  生きていけんのとちがうやろか なんぼええことしても 悪いことしても 1秒たったらもう過去のことや 今日 いま このときを 大切にせんとあかんよ 」

 「人生楽々  ~大川フサ子さんの詩~ 」から、というもの。
 大川さんが『ある日(たしかお墓参りの帰りでした)、ふと訪れた画廊で目にした「弁天さま」の絵を衝動的に買い求め、それを寝室に飾って以来言葉(詩)が次々とあふれだし、 一通り書き終わってからは全く浮かばなくなったとか』ということ。
 このページのあるサイトはいつからかなくなってしまった。

 ほかに山頭火も紹介してあった。

 「うしろすがたのしぐれてゆくか」
 (これはマンガの「ガキデカ」のいわゆる変身シーンで使われていたなあと、ふと思い出し出し・・。)
 「どうしようもないわたしが歩いてゐる」
 「こころつかれて山が海がうつくしすぎる 」
 「まつすぐな道でさみしい」 ・・・。

  また、 『苦痛に徹せよ、しかし苦痛は戦うて勝てるものではない、打つたからとて砕けるものではない、苦痛は抱きしめて初めて融けるものである』
 『或る時は澄み、或る時は濁る・・澄んだり濁つたりする私であるが、 澄んでも濁つても私にあつて一句一句の心身脱落であることは間違ひない』と山頭火は書き記しているという。


b0019960_2544877.jpg 大川さんの言葉は心を軽くするような明るい響きがある。それは大阪弁であるということもあるだろうか。

 でも、実のところ山頭火の言葉に現れる「わたし、じぶん」というものと響きあうものでもある感じがする。いや、自分を見つめている目、というか。

 ぼくらの、くるしみの原因は「私-という意識」そのものではないか。そういう風景を、ふたりの言葉のなかに観ることができるし、それを融きほどいていく目、こころ、意識のあたたかみもまたここにあるようだ。

 「 ありがたい ありがたいと おもわなあかん  とおもっているうちは まだあかん  あたまの中から ありがたいが 消えたら  ほんまに ありがたいこっちゃ 」

 山頭火の句のひとつ、「こころつかれて山が海がうつくしすぎる 」。 

 長い漂泊、放浪ともいえるような時間のなかで、我にかえるように見る旅先で出会う風景。
 身体も疲れ、いつかこころも疲れて、見つめる、山が、海が、なんとも美しい。それは疲れを癒されるもの・・という事で済ませてはいけないような気がする。
 いや、そんな句を読むだろうか。でもただ実際の感銘を詠う、そう、それもあるだろう。

 がしかし、ちよっと深読みをしてみよう。
 人生の旅において、人はいろいろ迷い、葛藤し、やがて彼の心身は疲労の闇に沈む。
 そして、ある日ふと通い慣れたはずの道の垣根に咲く花に彼の目が止まる。花の色彩が眩しいほどに目に飛込んでくる。
 心は悩みくりかえし葛藤し、気がつかぬ間にへとへとに疲れている・・からこそ、その出逢いもまたあったということもできるだろう。
 それは彼の長く、闇に住み慣れ疲れた心には、眩しく美しすぎるほどに映るのであろう。

b0019960_3123739.jpg 
 だいぶ前に読んだことのある記事を思い出した。
 ある夫婦が病院の帰り、死期の近いことを知らされた妻と小さな公園のベンチに座った日の事を語る御主人の話だ。


 『その日、私たちはきっと初めて「花を見た」のです』
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by past_light | 2005-03-09 02:59 | ■Column Past Light | Trackback | Comments(0)

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