望まれぬ雪を待つ日

 子供の時に見る雪といえば、とにかくまずもってわくわくしたものだ。

 高校生まで住んでいた九州の南端でも、冬にはいくどか必ず雪は降った。
 学校の顕微鏡で観た雪の結晶の美しさも神秘的で、綿雪を手に取ってじっと眼を懲らし観れば、肉眼でもその結晶の形がおぼろに見えるような感じがした。

 手のひらですぐに溶けてしまう、あやうくはかないその繊細な形は、人が創ろうとして作れるものではない自然のなかに備わる知性の存在を思わせるものだった。
 いわば自然の彫刻なのだ。

b0019960_2031520.jpg 自然界にある形・造形に、人の創造力がなかなか適うものではないと思うものはほかにもある。
 田舎の夏の海岸でいつも目にする波に侵食された砂浜の石や岩、貝殻。それから、何年も海を旅し流れついた角のとれたガラスの欠片など。

 身近にあるそんな自然の美に鈍感になるとき、身体と心の風景まで殺風景な気がするものだ。
 外にあるものに鈍感な時は、自分の内にも鈍感でもある時だ。
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by past_light | 2005-03-03 20:34 | ■Column Past Light | Trackback | Comments(0)

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