2004年 12月 06日
スノーマン
絵本の「The Snowman」という(原作 : Raymond Briggs)絵本があり、ほぼ忠実にアニメーション化されていて、以前、このアニメに初めて出逢った時の感動と驚きは、特にこの季節になると今でも思い出します。
絵本と同じく、アニメもセリフがなくて、背後に音楽が流れているだけです。
静かな夜、雪だるまのスノーマンと空を飛ぶ少年のファンタジー・・・というとありきたりに聞こえそうなのですが、観た人に忘れられない気持ちを残すアニメ映画です。
その気持ち、感情というのは映画がサイレントであるように、言葉で伝えてはいけないものような・・ひとりひとりが直に味わう繊細な感情でしょう。
物語は・・、翌朝、無二の親友になったスノーマンとの静かな別れが悲しく、それは少年が大人になりゆく時、見えない未来と至福の記憶に向けるような、それは生の歓喜と死の静寂をも想わせ、そんな気持ちを観客に共有させる話だと思います。
そしてまた、そんな眠っている「おさな心」を思い出させるような大人のための映画でもあるという気がします。
子供の情操教育(この言葉が適切かどうかは別として)としても、なかなかこの物語に適うものがないのではないだろうかと、ぼくは想像しました。
原作の絵本と比較しても、アニメ・スノーマンは、その仕上がりは充分満足されるもので、元にあった物語のイメージは映画的に命を与えられて、さらに素晴らしく描かれ丁寧に演出されています。
スノーマンと少年の一夜の至福と、それゆえの淋しさの物語は、観たものに強い印象と余韻を残します。
キャラクター商品のスノーマンはありますが、クリスマスの近づく季節、このアニメを観て、もう一度、あなたのスノーマンを想ってみてはいかがでしょう。
by past_light
| 2004-12-06 01:33
| ■主に映画の話題
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